数年前に突如登場し、高額サプリとして流通していたNMN(
そもそもNMNとは?
ビタミンB3の一種
NMNはビタミンB3の一種で、体内で作られる成分です。近年の長寿研究の中で「長寿遺伝子を活性化する」という働きが解明されたことで、注目を集めています。
加齢とともに減っていく
NMNは体内で作られる成分ですが、加齢とともに減り始め、特に40代からの減少が顕著とされます。いくつかの研究では、メスのマウスの方が良い効果が得られており、この傾向は(昆虫から類人猿まで)種を超えて見られるようです。
長寿以外の働きが見えてきた
長寿分野ばかり注目されてきたNMNの研究は、それ以外の分野にも広がり始めています。直近の論文の中から、報告のあった主要なものを列記します。
- 骨粗鬆症の予防の可能性
- パーキンソン病の進行を遅らせる可能性
- 睡眠不足による腸内細菌のバランス悪化と抵抗力の低下を抑制する
- 急性膵炎の重症度の低下
- 腸内細菌の多様性の向上
- 腸内のバリア機能の回復(リーキーガットの改善)
などなど様々なメリットが見えてきています。特に腸内細菌への好影響を報告する論文が増えています。一方で、
- セリアック病に関連
- 高齢マウスでは腎臓の炎症に関連
といった報告もあり、今後の研究の進展は注目する必要がありそうです。
関連記事:遺伝性の疾患と 腸内細菌
悪徳業者は減ったか?
NMNが流通し始めた当初、とある原材料メーカーの方が「コエンザイムの時と同じだ..」と語っていました。
特定の成分が注目されると、偽物や粗悪品が横行するという意味です。事実、数年前には素性不明の販売者による多種多様な商品がAmazonなどで多く見られました。それらは今はほとんど残っていません。
一方で、当初は人間がターゲットだったサプリ業社群が、犬に標準をしぼって再登場しており、あまり良いものではないように見えます。
寿命は伸ばせるか? テロメア
延伸可能らしい
細胞の時計とも呼ばれるテロメアという名を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか? 細胞は加齢とともにテロメア(染色体の末端部分)がすり減り、それが尽きた時に死を迎えるとされています。
ところが、テロメアはある程度は保護や延伸が可能なことが分かってきています。
その鍵を握るのが炎症です。
関連記事:犬のIBD.. ステロイドが効かない時に起きている事
炎症がテロメアに影響
炎症は体を防衛する正常な機能ですが、過度の炎症は酸化ストレスとなり、DNAの損傷に繋がります。結果としてテロメアの短縮が加速(寿命が短縮)します。
炎症が問題なのではなく「慢性の炎症」が問題であり、じわじわと寿命を削っていると捉えて良いのではないでしょうか。
この文脈は、「慢性炎症が癌に至る」という仮説にも通ずるところがあります。
炎症抑制が寿命を伸ばす?
慢性の炎症が寿命を削るのであれば、炎症の抑制が寿命を伸ばすのでしょうか? おそらくはYesです。テロメアの保護や延伸は、炎症抑制の結果として起こると考えられています。
NMNには炎症抑制の働きがあり、また整腸に好影響( =間接的に腸内の炎症抑制)という点を考えると、長寿遺伝子活性とはまた別のメカニズムで長寿に貢献していると考えることができます。
尚、乳酸菌の主要なグループである「ラクトバチルス科」の多くは、制御性T細胞に働きかけ、適度な炎症抑制に貢献する事が知られています。
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余談:冷凍庫の話
全く余談ながら、飢餓状態や寒冷環境は長寿遺伝子を活性化する事が知られています。
ファスティングや修行僧の断食は、科学的にも大きなメリットがあると解明され始めています。
寒冷な環境も同様で、過酷な条件下ではむしろ細胞レベルで「生きる」スイッチが入るのだと考えられます。
私たちは日常的に - 20℃の冷凍庫に出入りしているため、日々の業務を通じて、長寿遺伝子がメキメキと活性化されているはずです!








