乳酸菌の「合う」「合わない」の真相

乳酸菌の「合う」「合わない」の真相

「その個体にあった乳酸菌」や「私に合う乳酸菌」といったフレーズを耳にした事がある人も多いはず。では実際に、乳酸菌が合う/合わないという事があるのでしょうか? ここでは、そんな疑問にお答えします。

乳酸菌に「合う」「合わない」は本当にある?

いきなり結論

乳酸菌の「合う」「合わない」は、ある意味では本当です。ただしそれはDNAや相性という話ではなく、保有している腸内細菌の違いによるものです。

さらに平たくいいうと「腸内に味方がいるかどうか?」の違いとも言えます。

例えば腸内で乳酸菌群が枯渇している場合、新たに単独で乳酸菌を投入しても効果が出ないどころか、酷い下痢に至る場合もあります。これは腸内で完全に異物扱いされているからだと考えることができます。

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有名な乳酸菌なら効果が出るか?

腸内に味方が少ない場合、有名ブランドの乳酸菌なら何とかしてくれるのでしょうか?

たくさんの犬や猫、そして人間の腸内細菌を解析してきたデータから判断する限り、有名ブランドの乳酸菌だから良い、というものでもありません。

自然界でも腸内でも、乳酸菌は単独で存在するものではなく、必ず近縁種らとともに検出されます。それが本来の微生物生態系です。それを無視して有名乳酸菌だけを摂取しても、根本の解決には至らない場合が多々あります。(※すでに腸内の生態系が整っている場合を除く)

また、実際のサプリなどに使用されている乳酸菌濃度は非常に低い場合も多く、また死菌と生菌が混同されていたり、生菌が常温で流通していたりと、ベストパフォーマンスが発揮できる状況ではなく、という現実もあります。

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乳酸菌を最大限いかすには?

乳酸菌が活躍する下地

有名ブランドの乳酸菌でも、孤立して敵地に送り込まれれば活躍のしようがありません。そうではなく、乳酸菌群として複数種をまとめて送り込む事で、状況は有利になる場合が少なくありません。(プロバイオティクス)

また、同時に餌を届ける事で、戦況はさらに有利になります。具体的にはオリゴ糖やイヌリン、レジスタントスターチなどの軟消化性物質が有用です。(プレバイオティクス)

これらの組み合わせを「シンバイオティクス」といい、整腸における王道的な選択と言えます。

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合う合わないではない

世の中には本質を見誤らせるキャッチコピーが溢れています。そうしたものはあまり間に受けず、ドライに効果を検証し、2~4週間ほどして何も改善しないのであれば次に進むしかありません。

尚、有用な乳酸菌であっても、時には感染症の原因となる事があります。また、稀な例ではありますが、一部の自己免疫疾患で一部の乳酸菌の過剰な増加が見られるパターンがあります。こういう時に無条件に乳酸菌を選んでいると、逆効果となる懸念があります。

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そもそも乳酸菌が正解ではないことも

力不足の場合

「おなかの不具合には乳酸菌」、という価値観が浸透しています。一般論としては間違いありません。一方で、一部のIBDや原因不明の下痢、嘔吐、皮膚トラブルなど深刻な状況にある場合、乳酸菌はしばしば無力です。

例えば、不具合で頻繁に関与する「エンテロバクター科」や「シュードモナス属」といった細菌たちに対しては、乳酸菌は力不足の傾向があります。

不具合の原因が異なる場合

IBDをはじめとする原因不明の消化器やいくつかの皮膚トラブルにおいては、実は病原性細菌が原因ではない事例も多く存在あります。

例えば重要な常在菌である「フィーカリバクテリウム属」や「バクテロイデス属」らの枯渇によるバランス崩壊などは、病原菌が原因ではないため、乳酸菌による抗菌活性は根本の解決には至りません。

また、一部の「ルミノコッカス属」や「コリンセラ属」など、炎症を促進する細菌たちが過剰になっている場合においても、乳酸菌は根本の解決には貢献しません。

これらは乳酸菌が「合う、合わない」という話ではなく、用途が最適ではないというのが実情と言えます。

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