鹿肉のメリットや栄養成分

鹿肉は高タンパク低カロリー
鹿肉の最大の特長は、高たんぱく低カロリー(低脂肪)という点です。筋肉の維持に必要なたんぱく質を豊富に含むことで愛犬や愛猫の活力を支え、同時に肥満や心臓病のリスクの抑制が期待できます。特にシニア期を迎えた個体や、何らかの事情で体重管理が必要な子にとっては大きなメリットとなります。
さらに、鹿肉は一般的な牛肉や豚肉と比較すると、食物アレルギーのリスクが低い傾向にあり、アレルギー疾患に苦しむ飼い主さんにとっても嬉しい食材と言えます。
鹿肉の栄養素
鹿肉は栄養価の高さにも大きな魅力があります。特に鉄分とビタミンBの含有量が豊富で、愛犬や愛猫の血液と神経系の健康をサポートします。鉄分は血液の酸素輸送能力を高め、ビタミンBは脳の正常な機能を維持します。
また、鉄分やビタミンB以外にも、鹿肉には複数種のビタミン/ミネラルが含まれています。適量を与えることでペットの健康を長期的にサポートしてくれる食材と言えます。
ニホンジカの栄養成分(100gあたり)
- エネルギー:119kcal
- 水分:71.4
- たんぱく質:23.9g
- 脂質:4.0g
- 炭水化物:0.3g
- 灰分:1.2g
- 食塩相当量:0.1g
鹿肉の注意点
愛犬や愛猫にとって、鹿肉には多くのメリットがありますが、同時にいくつかの注意点もあります。以下、注意点やデメリットを簡単に記載します。
- 他の食材よりも高額
- 鹿肉は、牛肉や豚肉と比較すると高額な食材と言えます。特にアメリカやオーストラリアなど、工業的な畜産で生産されるお肉と比較すると数倍の価格差が出ることがあります。一方で、安すぎる畜産物は、強烈なストレスや残留抗生物質のリスクが高く、また自然界に対する負荷が恐ろしく高いという点は忘れてはならないポイントです。
- 慣れるまで時間がかかる場合も
- 鹿肉を初めて食べた個体が、食べすぎてお腹を壊してしまう事例がしばしば見られます。最初に導入する際には、まずは少量から開始することをおすすめします。また、国産の鹿肉の場合、野生種ならではのお肉の濃さがあり、弱った老犬などには"強すぎる" 場合があります。繰り返しになりますが、まずは少量で様子を見る事が重要と言えます。
- 生食はリスクあり
- 鹿肉の生食には根強い人気がありますが、生食には当然ながら寄生虫や感染症のリスクが伴います。国内では、人間用/ペット用に関わらず、生食はしないよう行政から通達が出ており、すべての事業者において「生食用」という表記は使えなくなっています。加熱によって一部の栄養素が失われる事がある一方、低温調理によって栄養素の温存がある程度可能という側面もあります。可能な範囲で最善の方法を見つけながら、良質の食材としてご活用ください。
犬と猫にジビエという選択肢
鹿肉や猪肉など、いわゆるジビエは特別なものと解釈されがちです(※)。が、現実としては鹿や猪だから良いのではなく、「家畜ではない点」こそが鹿肉/猪肉とメリットと言えます。(※自然界から見れば、むしろ家畜こそが色々な意味で特別です。よって鹿や猪が養殖され始めたら本末転倒とも言えます)
家畜には、残留抗生物質や肥育ホルモン、ストレス下での育成、運動不足、そして人間の都合の良いように品種改良され尽くした結果という、動かし難い現実があります。
そうではない選択肢の1つとして、適切な衛生環境で処理された、国産ジビエは有益な存在と言えます。