ネットで抗生物質を買ってはいけない
(最終更新日: )Web検索で「フラジール 犬 口コミ」などで検索すると、オンライン販売の口コミページを見ることができます。
お薬のオンライン販売自体が危うい商法ですが(※)、寄せられているレビューでは、下痢が治った、便利、などのコメントを中心に、風邪薬のような感覚で使用されている様子が伺えました。そしてこれは、とても危ういことです。
※無許可の薬品販売は違法のため「販売」ではなく「輸入代行」という名目にしたグレーなビジネスです。
抗生物質は劇薬
腸内細菌にダメージ
フラジールをはじめとする抗生物質は劇薬です。腸内細菌をはじめとする体内の微生物を標的にしたお薬のため、病原体のみならず、重要な常在菌たちにとっても深刻な打撃となります。
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繰り返しの使用で後戻りできなくなる
抗生物質による腸内細菌のダメージは、健全な腸内環境であればやがて回復していきますが、近年の研究では「完全には元には戻らない」という論が増えています。使用が1クールや2クールであれば大きな問題にはならないかもしれませんが、3度,4度と繰り返されるうちにダメージの幅は大きくなり、回復が難しくなっていきます。
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例えば、下痢の頻度が増加する
「よく下痢をするのでよくフラジールを使用する」というパターンにおいては、下痢は一旦治るものの、やがて下痢の頻度が高くなり、お薬使用の間隔も短くなっていきます。そしてダメージがますます深まります。まるで薬物中毒です。
慢性の下痢に対してステロイドや免疫抑制剤が使用されている事例も多くみられますが、腸内細菌への打撃が蓄積するにつれ、これらもやがて効かなくなります。
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親から受け継ぎ、子にも引き継がれる
蓄積するダーメジ
抗生物質のダメージは腸内細菌のダメージです。母体から子に引き継がれ、次の子にも引き継がれます。世代を重ねるごとに悪化していくという辛い現実があります。
複数の獣医さんが「10数年前には犬のIBDなど見た事もなかった」と口を揃えます。しかしながら、いまやIBDやタンパク漏出性腸症は一般的な疾患になりつつあります。アレルギーも同様です。(昔はほとんど見られなかった。これは人間界でも同じ)
これらは、腸内細菌のダメージが大きく影響している疾患です。
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不利な状況で生まれてくる
繁殖引退犬の腸内細菌は、多くの場合、抗生物質の痕跡が顕著に見られます。出産のたびに投薬が繰り返されてきたのかもしれません。
「母体の悪化した腸内バランス」を引き継いだ子は、本来の腸内バランスを獲得できないまま成長し、アレルギー疾患や、自己免疫疾患のリスクが高いまま大犬になります。
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IBDと同じ特徴がある
早い個体では生後半年くらいから下痢が始まりまりますが、ペットショップで引き取った直後(3ヶ月くらい)から下痢というのもしばしば耳にする話ではあります。
Forema ラボにはこうした個体の腸内細菌データも解析の事例が多くありますが、それはIBDと診断され、何度も投薬を繰り返された個体と概ね同じような組成をしています。
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改めて、劇薬である
劇薬がオンラインで買える危うさ
上記を知れば、抗生物質を風邪薬のようにオンラインで購入して個人使用するのは暴挙という事が分かります。またその仕組みを作っている事業者も大きな問題です。
重要なお薬でもある
劇薬である抗生物質は、最適な使い方をする限りは絶大な効果を発揮するお薬です。命に関わることもある重篤な感染症を魔法のように撃退します。劇薬ゆえに安易にオンラインで購入しない事が重要です。
尚、今回は事例の多いフラジールについて書きましたが、アモキクリアやタイロシンなど、どの抗生物質も基本的な構造は同じです。
よくある質問
個人輸入代行でペット用の抗生物質を買うのは違法ですか?
販売する側は法に触れる可能性が高く、購入する側も無条件に自由というわけではありません。国内で承認されていない医薬品を許可なく販売することは薬機法上認められておらず、そのため「輸入代行」という形式が用いられています。動物用医薬品の輸入には所定の手続きが必要とされる場合もあります。法的な判断は専門家の領域になりますが、少なくとも通常の買い物と同じ枠組みではない、という前提で考えるべきものです。
前に処方された抗生物質が残っています。次の下痢に使ってよいですか?
使用は避けてください。同じ下痢に見えても原因が異なれば薬が合わず、効かないまま腸内細菌への打撃だけが残ります。そもそも下痢が再発する時点で、問題の根が大きくなっている可能性があり、要注意です。例えば、投薬による打撃で腸内多様性が低下し、逆に病原性細菌が増えるといった負の連鎖があります。これに対して同じ投薬を実施することでさらに連鎖が加速する懸念があります。
薬剤耐性を持つ細菌の問題は、家庭のペットでも起きますか?
起こり得ます。抗生物質を反復して使用すると、耐性を持つ細菌が腸内で選択的に残り、占有率を上げていきます。当ラボの解析でも、投薬歴の多い個体で特定の細菌群が極端に優位になっている例が見られる他、それが飼い主さんの腸内で増加している事例も複数見られます。飼い主 → ペット、ペット → 飼い主 の双方のパターンがあり、静かながらも深刻な問題と考えられます。
繁殖引退犬や保護犬を迎えました。腸内環境のために何ができますか?
まず現状を把握することが出発点になります。過去の投薬歴が不明な個体では、症状が出ていない段階でも細菌構成が偏っていることが珍しくありません。当ラボの解析では、繁殖引退犬に抗生物質の痕跡が顕著に見られる実例が多くあります。下痢が始まってから対処するのではなく、事前の腸内環境を把握し、先に対処することが重要です。

Forema Labo チーム
腸内細菌や、環境中の微生物群集の解析~研究を行っています。Forema ラボでの数千件の解析データを元に、犬猫の腸内細菌と健康の関係、腸内環境と全身の健康との関係、そして自然界や生態系の話を発信しています。
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