オオスズメバチの女王蜂の腸内細菌を解析する話

オオスズメバチの女王蜂の腸内細菌を解析する話

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養蜂家さんからいただいたオオスズメバチの女王蜂の遺体から、腸内細菌の解析を進めています。

自然界の情報が詰まっている

野生個体の腸内細菌には有益な情報が詰まっています。人工物の影響を受けにくい野生個体は、私たちが失ってしまった「健康の本来の形」を保存したアーカイブです。

鹿や猪といった哺乳類のみならず、爬虫類や昆虫類でも同様です。同時に、そこには不具合に至るヒントも見え隠れしています。

例えば化学物質を分解する細菌の存在は、農薬への曝露の可能性を示唆しています。

また、その種特有の病原体の有無から、生前の健康状態がある程度見える場合があります。(蜂の世界にも腸内の炎症に関連する特有の細菌たちがいる)

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遺体ならではの情報もある

遺体であっても腸内細菌からは多くの情報が得られます。

例えば、死んでから一定の時間が経過すると腐敗菌が増加するため、腸内細菌から遺体の鮮度が判別できます。

また腐敗菌の種類によって水に由来するのか、土に由来するのかの推測がある程度成立します。

話はそれますが、人間の検死の世界では死体に発生する蛆虫の種類や成長度合いから死亡時刻がかなり正確にわかるらしく、中には薬物の使用有無の特定に貢献する蛆虫の種類もいるそうです。

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生きた個体で腐敗菌が増える!?

死骸の腸内細菌や腐敗物の細菌組成には多くの共通事項があります。ところが、生きた犬の腸内細菌で類似パターンが見られる場合があります。

これが地方や山間部の室外犬の場合、「外で何かを食べた」可能性があり、この場合、問題になる事例は多くありません。

一方で都市部の室内犬だった場合、生食をしているか、もしくは根本に不具合を抱えているかの二択となります。

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普遍的なパターンがある

肉食動物であっても草食動物であっても、腸内細菌には類似の構成比率や多様性が共通して見られます(ただし保有する種類は異なる)。

一方で、不具合のある個体はこうしたパターンから大きく逸脱していきます。哺乳類以外においても同様であり、その種のスタンダードからの逸脱は不具合の存在を強く示唆しています(昆虫でも弱体化したグループは腸内細菌組成が異なる)。

さらには土壌においても、多様性や微生物の検出数から健康状態や生態系の豊かさを見てとることができます。

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死んだ土には微生物がいない?

余談ながら、自然農法インフルエンサーのような人たちが、「死んだ土には微生物がいない」といった趣旨の発言をしていることがあります。

ところが、実際には干からびて何も生えない土にも、微生物の豊かな生態系があります。この場合、より過酷な環境に強い古細菌たちが優勢で、例えばアンモニアを硝酸に変えるといった、初期の土づくりに貢献しています。

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ヒントは自然界にある

自然界から得られた膨大なデータを人やペットの腸内細菌と比較すると、実に大きな差が見えてしまい、寂しい気持ちになることがあります。

逆に言うと、私たちが失いつつあるものを取り戻すためのヒントは常に自然界にあります。オオスズメバチの遺体からも、ヒントやその断片が多く見つかるはずで、これから何日もかけて少しずつ解析を進めていきます。

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