犬や猫からも時々検出..?水底に住む常在細菌の話

犬や猫からも時々検出..?水底に住む常在細菌の話

Foremaの細菌研究の一環として、金魚の水槽の底にたまった泥状物質を解析しました。

簡単に結論を書くと、検出された細菌たちは人や犬/猫の腸内とかなり共通するメンバーたちでした。(検出比率自体は大きく異なります)

水底から検出された細菌たち

アエロモナス属

最も多く検出されたのはアエロモナス属(Aeromonas)と呼ばれる細菌グループです。アエロモナス属は一般的な自然界の住人で、通常は湖沼などの水中から検出されます。時々犬や猫の腸内でも増えていることがあり、宿主が弱ると病原性を持ちます。

酪酸菌の一種

主には牛などの反芻動物やベジタリアンから検出されるメガスファエラ属(Megasphaera)が多めに検出されました。これは底に積もった水草の枯れ葉を少しずつ分解するメンバーとして常駐しているのかもしれません。

ビフィズス菌

種までは特定できませんでしたが、我らがビフィズス菌(Bifidobacterium)も少量検出されました。ビフィズス菌は土中からも微量に検出されるもので、当然のように水底にも生存圏を広げているのでしょう。

乳酸菌の一種

腸球菌(エンテロコッカス属:Enterococcus)の一種が水底から検出されました。役割はよく分かりませんが、こちらも自然界の住人として当然のように存在しているのでしょう。ラクトバチルス属など他の主要な乳酸菌群が不在な中、この種だけがここにいるのは興味深い点です。なお、この種の死菌は整腸剤でも使用されていますが、生菌は病原性を持ちやすい側面があります。

主要な口腔細菌

人やペットの口腔で一般的に見られるメンバーたちもいくつか検出されました。実は歯周病菌も含め、口腔細菌は土中など自然界からも微量に検出されます。当然勢力は拡大されておらず、水底では肩身の狭い存在のようです。

腫瘍マーカー

大腸がんの腫瘍マーカーとして知られる細菌グループが微量ながらも複数検出されました。このあたりの構成員は腸内と変わりがありません。汚れた腸内と水槽の汚泥はやがて似たような生態系に収斂されるという事なのでしょうか..

ナイセリア属

髄膜炎菌や淋菌などが分類されるナイセリア属(Neisseria)が一定数検出されました。これらは、腸内ではなく、一般的には口腔などの粘膜部位から検出されます。腸内同様に、汚れた口腔内は、時に汚泥と共通した生態系へと再構築されていくのかもしれません。

その他病原性細菌たち

サルモネラ菌(Salmonella)や結核菌(M. tuberculosis),ウェルシュ菌(C.perfringens)といった、一般的な病原性細菌も微量に検出されました。彼らは本来、こうした「そのへんの環境中」の一般的な住人という事がよく分かります。もちろんそこでは群衆の中の1メンバーにすぎません。

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水底の住民たちは何を意味するのか??

水槽の底は、水草の延長線上であり、金魚の腸内の延長線上でもあります。

自然界では、私たちも動物も魚も、水や土、粉塵などを通じて間接的にはつながっており、細菌たちはその間を行き来をしているということなのでしょう。

きれいな水にはそこに住むメンバーがおり、汚れた水には相応のメンバーがいます。

口臭や便からドブ川の匂いがした時、それは体内がドブ川になっているという辛い現実を示している可能性が高く、つまりは生態系からのヘルプサインです。

「整腸/腸活」は、体内に清流を取り戻す「生態系保全活動」そのものと言えますね。

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