犬と猫に、オリゴ糖のリスクとメリット

犬と猫に、オリゴ糖のリスクとメリット

整腸サプリや健康食品で定番のオリゴ糖。良く耳にするけれど、リスクはないのでしょうか?

ここでは、犬と猫にとって、オリゴ糖のリスク、そしてメリットを腸内細菌ケアの観点から記載します。

オリゴ糖の役割とは? 主なメリットについて

腸内細菌にとってのエサとなる

オリゴ糖が有益な理由として、腸内細菌にとってのエサになる点が挙げられます。

犬や猫の腸内細菌は、かなりざっくりですが700種ほどが知られており、そのうち1頭が保有するのは250~350種ほど。この中で、健康な宿主にとっての常在菌グループと、感染症を招く病原性細菌などが勢力を争いながら均衡を保っています。

オリゴ糖は、こうしたグループの中から、主には有用な細菌たちに好まれてエサとなっています。

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基本的には整腸に貢献する

オリゴ糖を好む腸内細菌の中でも有名なのは乳酸菌、そしてビフィズス菌です。

乳酸菌というのは、ラクトバチルス属を中心とした「乳酸を生み出す細菌たち」の総称で、250種以上が知られています。

一方のビフィズス菌は、「ビフィドバクテリウム属」の細菌のことで、系統としての分類は乳酸菌とは大きく異なります。

ビフィズス菌、乳酸菌ともに腸内を弱酸性に傾け、抗菌活性を発揮する事で病原性細菌にとって済みづらい環境整備に貢献します。

オリゴ糖はこうしたメンバーたちの餌となるため、結果として整腸につながる成分と言えます。

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オリゴ糖のデメリット、リスクとは?

様々な細菌たちが利用する

オリゴ糖はビフィズス菌や乳酸菌に好まれると上述しました。が、冒頭で触れたように、腸内には300種前後の細菌が生息しています。当然ながらビフィズス菌や乳酸菌以外にもオリゴ糖を好む細菌たちは多数存在します。

例えば「メガモナス属」の一部や「フォカエイコラ属」の細菌などは、他の有用菌とともにオリゴ糖などをエサとしますが、増えすぎる事で病原性を持ちます。

こうした細菌たちだけが偏って増えた場合(※)、オリゴ糖はちょっとしたリスクとなる可能性があります。

※抗生物質治療の影響などでしばしば見られます

SIBO(シーボ)のリスク

SIBOは、正確には小腸内細菌増殖症といい、小腸で細菌たちが増えすぎる事で起こります。具体的には、本来大腸にいる細菌たちが、なぜか小腸で過剰増殖してしまいます。人間だけではなく、犬や猫でも類似の症状があるとされています。

例えば乳酸菌などの発酵菌は宿主にとって有益な乳酸を生み出すと同時に、炭酸ガスも放出します。小腸で過剰に炭酸ガスが放出されると強い圧迫感を生ずるとともに、吐き気などにもつながります。

これはあくまで乳酸菌の一例ですが、さまざまな細菌たちの代謝活動が場違いに行なわれる事で、消化器トラブルにつながるのがSIBOという病気です。

この時、オリゴ糖などのプレバイオティクスは小腸での細菌活動を活発化させるため、症状の悪化につながる事があります。

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オリゴ糖との付き合い方

大きなメリットと、時にはリスクにつながる可能性もあるオリゴ糖。最善の使い方の1つは「偏らない事」だと言えます。

オリゴ糖には複数の種類が存在します。

例えばフラクトオリゴ糖とガラクトオリゴ糖は、影響を与える腸内細菌の種類が微妙に異なっています。ビートオリゴ糖やミルクオリゴ糖も同様です。

複数種を併用する事で、特定の1種が極端に増加する"事故"がある程度回避でき、健全な腸内環境の維持につながります。

一方で、もしもSIBOの可能性がある場合、オリゴ糖を含むプレバイオティクス全般がリスクとなる可能性があり、主治医の先生の判断を慎重に仰ぐ必要があります。

尚、矛盾するようですが、SIBOは一部の乳酸菌やビフィズス菌で制御できる可能性がいくつかの文献で報告されています。リスクとメリット、発症と抑制が密接に関わり合う腸内生態系の複雑さが垣間見えます。

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