食糞(しょくふん)と腸内細菌

食糞(しょくふん)と腸内細菌

愛犬の食糞でお困りの飼い主さんも多いかと思います。

食糞の背景については、既存メディアや獣医さんたちによって詳しく説明されている一方、腸内細菌の視点で述べられているものは多くないため、ここで記載します。

欠落が目立つ

いきなり結論ですが、食糞の個体の腸内細菌は大きくバランスが崩れており、特定の常在細菌グループが大きく欠落しているというパターンにかなりの確率で出会います。

というよりも、ほぼ例外がありません。

食糞は、腸内細菌欠乏のヘルプサインという側面がきわめて大きいと考えられます。

自然界での食糞

自然界では、ネズミは食糞によって仲間たちと腸内細菌を共有し、機能や免疫を分かち合っています。

コアラの赤ちゃんは、袋の中で母親の糞を食べることで腸内細菌を引き継ぎ、ユーカリの毒を分解できる機能を獲得します。

ウサギは、腸内細菌によって作られたビタミンB12を摂取するために食糞します。大腸から一旦出し、口から入れて小腸で吸収という流れですね。

※ウサギに対し、牛や鹿などの反芻動物は、第1の胃袋でルーメン細菌たちを育成しており、ここでビタミンB12などが製造されています。

このように、食糞は主には機能の共有方法として普通に存在するものです。猫に食糞が殆ど見られないのは、単独で生きるため、「群で機能を共有」という生態がないからかもしれません。

腸内で何が起きているのか?

食べ物に困っていないペット犬が食糞をする場合、上に述べたようにヘルプサインの可能性が高いです。

Foremaラボの解析事例で多いのは、主要常在菌の「バクテロイデス門」グループの枯渇もしくはバランス崩壊で、これによって正常な大腸の機能が大きく損なわれます。

この時現れる症状は個体によって様々ですが、そのなかの1パターンとして食糞があります。

食糞自体は害がないというのが一般論ですが、この時腸内では炎症抑制機能が損なわれ、反動で別のグループ(大腸菌などのエンテロバクター科やIBD関連のルミノコッカス属など)が増加する事例が多くあります。

余談ながら..

余談ながら、群れで暮らす人間に食糞という生態はありません。一方で、生活をともにすることで腸内細菌を始めとする常在菌の共有が行われています。

アフリカなどの部族社会では、部族全体で同様の腸内細菌組成を共有しているという研究報告があります。南米の狩猟採集民族でも同様の報告があり、まさに集団免疫と言えます。

先進国の場合では、家族間での常在菌の共有が知られており、これは親子だけでなく、飼い主さんとペットの間でも成立します。

..ともあれ、食糞がある場合は腸内からのヘルプサインと受け止め、トウモロコシ主体のフードをやめ、プレバイオティクスを強化してみるなど、ケアに着手することをおすすめします。

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