2022年末、中国の研究チームが行った大規模調査の結果が報告されました。盲腸切除と大腸がんの関連についての興味深い内容なのでご紹介します。
盲腸の切除で大腸がんリスクが増加
73%のリスク増加
今回の研究報告においては「虫垂炎による盲腸切除の患者は大腸癌リスクが73%増加する」と言及されています。
この内容については欧米の学者などから「比較方法が最善ではない」「より詳細の研究継続が必要」といった趣旨のコメントが出ている一方で、類似の報告は以前から世界中に存在していました。
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類似の報告(仮説)は以前から存在
盲腸切除のリスクについて、今回の研究と類似の報告としては下記のようなものがあります。
- IBDの一種であるクローン病のリスクが増加する可能性
- 胆石リスクが増加する可能性
- 心臓疾患リスク/血管の疾患リスクの可能性
など、複数の疾患リスクの向上を示唆する報告が多々存在します。
尚、クローン病は、炎症を促進する細菌の1つである R. Gnavus が深く関与することが分かっています。
R. gnavusは単独で増殖することはあまりなく、多くの場合、他のマイナス要因と帳尻を合わせる形で増加します。逆に言うと、このマイナス要因こそが盲腸切除のリスクの本質かもしれません。
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盲腸と腸内細菌
盲腸は腸内細菌の保管庫!?
盲腸は腸内細菌組成の恒常性維持(※状態が安定していること)に貢献しており、腸内細菌のバックアップのような役割を果たしているようです。
かつて当たり前に行われていた
「盲腸は不要だから切除」
というのはどうやら大きな過ちであったようで、たとえば現在50代の盲腸切除者は、そうでない人よりも大きなリスクを抱えている可能性があります。
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盲腸切除とディスバイオシス
盲腸切除は、腸内細菌組成の崩壊(ディスバイオシス)にも関連しているという報告があります。
多くの場合「ディスバイオシス」 → 「疾患への発展」という流れであるため、「ディスバイオシス」の回避は疾患リスクの回避そのものを意味します。
盲腸切除は、自然に備わっていた「整腸」の機能を損ない、腸内を不安定な環境に晒してしまうと理解してよいのではないでしょうか? (死には直結しないが、間接的に死のリスクが近づく)
尚、冒頭の中国の研究チームの報告では、盲腸切除後に増殖した細菌種として、P.vulgatusとB.fragilis を中心に合計7種が報告されています。
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ディスバイオシスの中心
P. vulgatusとB. fragilis
P. vulgatusとB. fragilisはともにバクテロイドータ(バクテロイデス門)に分類されます。腸内の正常な常在菌である一方、抗生物質投与後に大増殖する事があり、ディスバイオシスの中心として頻繁に目にする存在でもあります。
また、犬や猫の場合、特に前者は一部のIBDや蛋白漏出性腸症、腎炎、膵炎などの個体で頻繁に登場する細菌種です。
また、P. vulgatusやB. fragilisの極端な増加は、先述の R. gnavusの増加に関連する傾向があり、盲腸切除がクローン病リスクを高めるという報告と一致します。
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「とりあえず抗生物質を..」のリスク
上述の盲腸切除リスクは、抗生物質投与後のリスクにも似ています。逆にいうと抗生物質の過剰投与は盲腸切除と同様のリスクという表現も可能かもしれません。
今世紀に入って(少なくとも先進国では)盲腸切除が行われなくなったように、近い将来
「とりあえず抗生物質で様子を..」
というのは大きな過ちであった、と気づく時代が来るのではないでしょうか。
※抗生物質自体は、本来は大変有益なお薬です。思考停止と無駄な乱用こそが災厄の本質と言えます。









