犬と猫の胆泥症、その時腸内で何が?

犬と猫の胆泥症、その時腸内で何が?

健康診断で偶発的に見つかることが多い胆泥症(たんでいしょう)。原因不明のことが多い一方で腸内細菌には顕著な特徴が見られます。

一体何が起きているのでしょうか? あまり知られていない胆泥症の深層についてお届けします。

胆泥症の犬や猫の腸内細菌の特徴

p-クレゾールを産生する細菌たち

胆泥症の個体で頻繁に見られるパターンの1つとして、p-クレゾールを産生する細菌たち(以下クレゾール酸生菌)の増加が挙げられます。

p-クレゾールは腸内細菌たちによって生み出される成分ですが、体内で高濃度になると有害であり、毒性を示すことがあります。

何らかの事情でクレゾール産生菌らが過剰に増えた場合に様々なリスクが上昇します。その中で見られる症状の1つとして、胆泥症が挙げられます。

高脂肪食で増加する細菌たち

胆泥症の背景として、しばしば高脂肪食が指摘されます。

事実、胆泥症の個体(特に犬)の腸内では、「高脂肪食で増加する細菌グループ(特定のクロストリジウム クラスター)」らの増加が頻繁に見られます。

「高脂肪食で増加する細菌グループ」は、肝臓で作られた胆汁酸を分解し、発がん性のある二次胆汁酸に作り替えます。 これは腸内にとって大きなリスクです。

ただし正常な腸内環境においては、さらに別の細菌グループによって二次胆汁酸は無害化されます。が、そうならない場合に何らかの不具合が表面化する事が多く、胆泥症もその中の1つと言えます。

つまり胆泥症はあくまで結果に過ぎません。

胆泥症はあくまで結果である

腸内細菌パターンは複数の疾患と共通する

胆泥症の腸内細菌パターンは、他の疾患でも頻繁に見られます。

例えば下記の疾患の腸内細菌パターンは"しばしば"胆泥症と共通します。

  • 腎臓疾患全般
  • 膵炎
  • 一部のIBD
  • アルブミンの低下
  • 慢性の皮膚トラブル
  • 分離不安
  • アルブミンの低下

etc..

これらの上流で起きている事は同じであり、表面化した結果が異なっているだけと言えます。さらに踏み込むならば、これらは皆同じ疾患であるという捉え方も可能です。

体内からのヘルプサイン

胆泥症は、表面的には胆汁の異常ですが、体からの重要な悲鳴です。特に目立った不具合が起きていないのは、単にカウントダウン状態という可能性があります。

根の部分が他の疾患と共通しているのならば、当然それらの疾患リスクが上昇している可能性があります。

事実、そういう事例は少なくありません。

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胆泥症にどう対処するか?

腸内細菌のバランスが崩れているのであれば、バランス改善は重要な第一歩です。

整腸でいちばんに思い浮かべるのは乳酸菌ですね。

ところが、胆泥症に関与するクレゾール産生菌は、乳酸菌では抑制が難しい傾向があります。乳酸菌で良くなったように見えるのであれば、それは乳酸菌による炎症抑制で、症状が食い止められているのかもしれません。が、それは根本部分の解決ではありません。

多くの場合、まずはオリゴ糖やイヌリンといったプレバイオティクスの強化が重要です。かつ小麦とトウモロコシを除去する事で良い方向に向かう事例が多くあります。

胆泥症をどうにかしようと考えるのではなく、整腸に取り組むことで、疾患リスク全体の軽減につながると考えられます。

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