炎症系のトラブルで処方されることの多いステロイド。犬や猫でも処方される事は多く、使用したことのある飼い主さんも少なくないはずです。
最初のうちは症状が収まるため、不具合が治ったと勘違いしてしまうパターンが多いように見えます。
この時何が起きているのでしょうか?
治っているわけではない
ステロイドは免疫を抑制することで、炎症による不具合を抑えます。その間にトラブルの元凶が治癒していけばいいのですが、腸内細菌由来のトラブルの場合、自然治癒するものばかりではありません。
ところが、ステロイドによる鎮静で不具合が治ったと勘違いしてしまうと、根本を放置したまま時間だけがすぎ、「症状再発時には手がつけられない」といった事例がしばしば見られます。
例えば「R.グナバス」
「クローン病(IBDの1種)」の原因となる「R.グナバス」という細菌は、腸内の炎症を促進し、消化器トラブルや皮膚トラブルを引き起こします。が、この段階でケアしておけば、IBDにまで発展することはなかったかもしれません。
「原因不明の下痢やかゆみ」をステロイドで抑えたとしても、「R.グナバス」は減りません。「根本の問題」が改善しない限り「R.グナバス」はじわじわと増え続け、再び症状が表面化したときには状況がさらに悪化します。
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「R.グナバス」と「ウェルシュ菌」
炎症とは、本来は体の防衛機能です。
「R.グナバス」が炎症を促進させることで、「ウェルシュ菌」の定着が抑制されるという報告があります。炎症によるプラスの側面と言えます。
ところが、どこかで一線を超えてしまうと、「R.グナバス」が炎症を促進しながら、なぜか「ウェルシュ菌」も大幅に増えるといった惨事が起こります。
これらの不具合は「ウェルシュ菌」や「R.グナバス」の問題に見えますが、背後には「腸内細菌そのもののバランス崩壊」という根本の問題があります。
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腸内細菌のバランスの崩壊
「R.グナバス」らによる惨事の影には、ほぼ例外なく腸内バランスの崩壊が見られます。
「バクテロイデス門」といった主要常在菌の異変や、「プロテオバクテリア門」といった病原性細菌主体のグループの大幅な増加などです。
こうしたトラブルは放置して改善することは少なく、もちろんステロイドで治るものでもありません。
ステロイドには長期使用による副作用が報告されていますが、それ以上に、根本の問題を覆い隠してしまう危うさがあります。
ステロイドが症状を抑制したとしても、腸内細菌たちの危うい動きは止められない事を知っておく必要がありそうです。