近年話題の長寿成分NMN(エヌエムエヌ)は、ペットにも効果があるのでしょうか?
ここでは、動物とNMN、そして腸内細菌への影響について簡単にご紹介します。
犬や猫でNMNの研究は進んでいない
いきなり結論となりますが、現時点で犬や猫にNMNが与える影響についてはほとんど研究が進んでいません。(犬においては安全性を確認する研究あり)
NMNの研究の多くは、線虫やハエなどによるもので、そこからマウス、そして人間へと研究範囲が広がってきています。
線虫やハエ、マウスや人で共通の影響があるのであれば、犬や猫にも類似の影響が出ると考えるのが自然ではないでしょうか。
という流れで、ここでは主にマウスでの研究報告を元に言及します。
NMNが腸内細菌に与える影響
酪酸産生菌が増加する
マウスを使用した研究では、NMNの投与は、ルミノコッカス科やプレボテラ科に分類される「酪酸産生菌グループ」の増加につながったという報告があります。また、痩せ菌としても知られるアッカーマンシア属の増加も報告されています。
Forema の社内検証(人間)でも酪酸産生菌の増加は確認できている一方で、アッカーマンシア属の増加は明確な再現が見られませんでした。ただしアッカーマンシア属は、元々保有している/していない、の差が明快なため、保有していない人はその後も増えないのだとも考えられます。
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腸内細菌叢の組成と機能を再構築
同じくマウスの研究では、放射線照射によってダメージを受けた腸内のダメージ(腸管線維症)がNMN投与によって緩和され、調節不全になった腸内細菌叢の組成と機能が再構築されたと報告があります。
ただし、マウスの研究で使用されるNMN濃度は(人間の体重に換算した場合)かなり高く、一般的に市販されている人間用のサプリの十数倍以上の場合もありますので、その点は留意が必要です。
NMNが腸内細菌に与える影響
睡眠不足の不調を改善
別のマウスの研究では、睡眠不足によって生じた腸内の不具合(細菌感染抵抗力の低下)が、NMNの投与によって改善したと報告されています。
睡眠繋がりでいうと、Foremaの社内検証では、NMM摂取をやめてしばらくすると,
睡眠の質が下がった、という例があります。(※ 普段は夢を見ないが、眠りが浅く夢の頻度が増えた/ 久しぶりに寝付けなかった / 明け方に目が覚める事が増えた)
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急性膵炎の重症度を軽減
やはりマウスの研究ですが、急性膵炎の重症度を軽減したという報告があります。これは急性膵炎を治したという趣旨ではなく、「膵炎による腸内細菌組成の乱れと炎症」を軽減した、という事のようです。 NMN投与によって長寿遺伝子の(SIRT3)が過剰発現し、急性膵炎の重症度を緩和したとあります。
一般的に、膵炎のさらに上流には腸内細菌のバランス崩壊が頻繁に見られるため、見方を変えれば予防にもつながる可能性があるのかもしれません。
NMNまとめ
NMNは本来、腸内細菌に直接働きかけるものではなく、サーチュイン遺伝子と呼ばれる遺伝子(SIRT1 / SIRT3 など)の発現に影響を与え、代謝経路に変化が生じるなど複雑なプロセスが起こります。
それら一連の結果として起こる事象の1つに、腸内細菌への影響があるのだと理解できます。
従来、NMNの研究は長寿やアンチエイジングが主流でしたが、昨今は炎症抑制や疾患との関連についての文献が目立ち始めています。
今後も新たな働きが発見されていくのではないでしょうか。