歯茎の傷と口腔細菌の話

歯茎の傷と口腔細菌の話

先日Foremaスタッフが歯科医で歯のクリーニングを行ったところ、手違いで歯茎が傷つき、出血するという事故がありました。(右上/左下の2ヶ所!)

翌日から歯茎が少し腫れ、以後悪化と小康を繰り返しながら、2ヶ月にわたって鈍い痛みが継続することになりました。

この時何が起きていたのでしょうか?

歯茎の外傷で起きた事

レンサ球菌が増える

該当のスタッフは、クリーニングの直前の朝に唾液の検体を取り、細菌解析の準備を終えていました。クリーニング翌朝に改めて唾液を採取し、両者を比較解析したところ、クリーニング後にはレンサ球菌(ストレプトコッカス属)の大幅な増加が見られました。

レンサ球菌は感染症の原因となる一方で、口腔内では一定の勢力を持った主要な常在菌でもあります。

急増の理由としては

  • クリーニングによる効果
  • クリーニング終盤に使用されたテラマイシン(口腔用抗菌剤)の影響
  • 歯茎の傷による影響

が考えられますが、この時点では断定ができません。

1ヶ月後に改めて同じ時間に唾液を採取し比較したところ、レンサ球菌が大幅に増加した状況に改善はありませんでした。(歯茎の腫れと痛みは継続)

また、過去の解析結果と比較したところ、やはりレンサ球菌の増加は今回のクリーニング以降の特徴であり、痛みが継続していることを考慮すると、あまり良い兆候ではなかったとようです。

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治安が悪化していく

その後も定点観測を続けていったところ、以前は検出がほとんどなかった「ゲメラ属」(口腔感染症の原因菌)が増加し始め、次に「ナイセリア属」(髄膜炎菌など)の大きな増加が見られました。

口腔内の治安は悪化の一途をたどっています。このまま髄膜炎菌が増加し続け、傷口から全身に巡っていくというのは考えたくないシナリオです。

どうしていけばいいのでしょうか?

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どうやって回復に導くか?

殺菌と炎症抑制の実施

一連の状況に対して、

  1. 梅干による患部の殺菌
  2. ラクトフェリン&マグネシウムの使用
  3. ロイテリ菌タブレットの使用
  4. Foremaの口腔サプリ(Oral乳酸菌)の使用

を順に試したところ、全てで腫れと痛みの抑制が見られました。

特に梅干しは天然の抗菌剤のような働きがあり、費用対効果においては絶大なものがあります。

一方で、どの選択も、使用をやめると腫れが再発するという点で、長い道のりが予想されました。

その中で、(自社の宣伝になってしまいますが)「Oral乳酸菌」はもっとも腫れの抑制効果が高く、持続時間も長いという明確な特徴がありました。

おそらくは、殺菌のみならず、生菌が一定期間定着するという点が大きな特徴と考えられます。

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回復のための知見

一連の流れから分かるのは、どういう方法であっても「適切な口腔ケア」は腫れと痛みの抑制には有効という事です。(※成分がまっとうなものに限る)

宿主が健康体であれば、梅干による殺菌を継続するだけでも、その間に自然治癒が進むかもしれません。

一方で、シニアや療養中の個体の場合、やがては病原性のある口腔細菌群に圧倒され、最後には打ち負かされてしまうのだと予想されます。

そうならないために、口腔ケアを、微生物生態系という視点で見ていくことは重要です。仮に口腔用の抗菌薬で殺菌したとしても、新たな住人が登場しない限り、また元の細菌群が復元されていきます。それを回避するためには、乳酸菌をはじめとしたプロバイオティクスの活用は重要です。

口腔にプロバイオティクスを導入すると、ナイセリア属やパスツレラ属といった不穏なメンバーが勢力を弱め、常在グループであるベイロネラ属などのメンバーが戻ってきます。乳酸菌群はそうした回復のためのきっかけ、そしてその後の治安維持要因として活躍します。

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