抗酸化物質 グルタチオンについて

抗酸化物質 グルタチオンについて

一般的には耳にする事がない一方、抗老化にとって有効な成分と考えられているグルタチオンについて、大まかな概要を記載します。

細胞内の抗酸化物質

グルタチオンは多くの生物の細胞内に存在する抗酸化物質です。3つのアミノ酸によって構成される「トリペプチド」と呼ばれる成分の1つです。

以下、関連文献から抜粋して和訳します。

グルタチオン(GSHまたは還元型グルタチオン)は、「γ-グルタミル」「システイニル」「グリシン」のトリペプチドであり、ヒトを含む多くの生物において細胞内の主要な抗酸化物質である。

「グルタチオンは、細胞内では活性酸素、脂質ヒドロペルオキシド、有害物質、重金属など、様々なフリーラジカルから細胞を本質的に守っている。」
>>「Glutathione, an Antioxidant Tripeptide: Dual Roles in Carcinogenesis and Chemoprevention」より
私たちの細胞内に存在するグルタチオンは抗酸化作用に加え、メラニン産生の抑制作用も知られていますが、加齢によって失われていきます。

メラニンの生成を抑制

お肌のシミの原因となるメラニン。グルタチオンには、メラニンの生成を抑制するという報告があります。

関連文献からの引用を抜粋して和訳します。

グルタチオンはチロシナーゼとL-DOPA間の結合を阻害した。合成されたメラニンは1時間以内に凝集したが、グルタチオンの添加により凝集は抑制された。これらの結果は、グルタチオンがL-DOPAの機能を阻害することにより、メラニンの合成と凝集を抑制することを示す。
>>「グルタチオンのメラニン合成阻害機構」より

L-Dopaというのは、植物においては、競合する他の植物の伸長を抑制する成分として生成されており、動物細胞においては毒性がある成分。メラニン生成の原因物質でもあります。

抗酸化作用に加えてメラニン生成の抑制というのは、アンチエイジングの文脈に沿った機能と言えるのではないでしょうか。

一部の乳酸菌によって作られる?

グルタチオンは細胞内で自然に作られていく物質ですが、「L.ファーメンタム」など一部の乳酸菌がグルタチオンを産生する事が分かってきました。

「L.ファーメンタム」は、炎症抑制や光老化による皮膚ダメージの予防/抑制が報告されています。

また、アトピー性皮膚炎の改善報告や、高脂肪食による肥満の抑制も報告されており、数ある乳酸菌の中でも特に有益な細菌の中の1つです。

これまで「ラクトバチルス属」に分類されていましたが、近年の再分類によって「リモシラクトバチルス属」に分類が変更となりました。「リモシラクトバチルス属」には、かの有名な「ロイテリ菌」も分類されています。

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NMNとL.ファーメンタムの併用による恩恵

グルタチオンと並び、アンチエイジング成分として近年注目を集めるのがNMN(エヌエムエム)。 NMNが抗老化に作用するメカニズムはグルタチオンとは異なります。

逆にいうと、重複しないため、併用する事でそれぞれのメリットが重複せずに得られます。実際に双方を併用した研究においては、グルタチオン単体,NMN単体よりも、併用した場合の方が紫外線に対する保護効果が高かったと報告されています。

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