近年、善玉菌として注目されることの増えた細菌の1つとして、「アッカーマンシア属」をご紹介します。
アッカーマンシアはこんな細菌
ヤセ菌として注目される
「アッカーマンシア属」、中でも「A. ムシニフィラ(Akkermansia muciniphila)」はプロバイオティクス候補としても注目されており、しばしばメディアにも登場します。
以下、この細菌の特徴を記載します。
- 痩せた人に多い
- 社交性の高い人に多い
- 2型糖尿病に対する改善効果の可能性
- 一部のてんかんを抑制の可能性
- 自閉症スペクトラムの子供では減少
- 小児喘息の子供では減少
などなど..。
ついに正義の味方が到来した気がします。
ところが世の常で、ヒーローには別の側面が存在します。
負の側面も存在する
- 多発性硬化症において増加の事例
- 多系統萎縮症において増加の事例
- パーキンソン病において増加の事例
- 大腸がんで増加の事例
などなど。
どうやら裏表の顔を持つ、二面性の強い存在に見えます。
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敵か味方か..アッカーマンシア属の素顔
有益な側面と負の側面を見せるアッカーマンシア属。はたしてどちらが本当の顔なのでしょうか?
おそらくはどちらも本当の顔です。
メディア受けする細菌は危うい
この細菌に限らず、「痩せる」などの分かりやすい研究報告があった細菌は、そこだけが切り取られてメディアやオンライン記事で紹介され、それらが何度もリピート紹介されていく危うさがあります。
現実としては細菌も人と同じで、多面的な存在であり、状況や環境によって挙動や存在の意味合いが大きく変わっていきます。
ビフィズス菌や乳酸菌ですら、時に感染症の原因となったり、IBD(炎症性腸疾患)にも深く関与することがあります。
善玉/悪玉という二元論ではない
過去の何処かで「善玉菌 / 悪玉菌」というキーワードが定着してしまった結果、 私達は良い細菌、悪い細菌という二元論で微生物を捉えてしまいがちです。
が、現実はもっと複雑な成り立ちをしており、単純化は本質を見誤るリスクがあります。
善玉/悪玉という二元論はは一旦忘れ、細菌たちは(良くも悪くも)人間味のある存在であるという事を知って頂ければ幸いです。
尚、犬や猫の腸内では「アッカーマンシア属」はごく微量、もしくは未検出であることが大半です。
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