犬と猫の腸内細菌,そして悪性腫瘍の話

犬と猫の腸内細菌,そして悪性腫瘍の話

近年の研究から、複数の腸内細菌/口腔内細菌が発癌や進行に関わっている事が少しずつ明らかになっています。

ここでは、今わかっていることの中から、大まかな全体像を俯瞰して記載します。

アレルギーの個体と癌の個体

両者は似ている

ひどいアレルギーや自己免疫疾患の個体と、癌の個体の腸内細菌組成はよく似ています。重度のアレルギーは慢性の炎症状態であり、それらのいくつかは内臓疾患へ、いくつかは衰弱による感染症へ、そしていくつかは悪性腫瘍に移行しているように見えます。

症状こそ違えど、どれも同じような腸内細菌の組成をしています。(だいたい数パターンに集約されています)

内なる声による警報

アレルギー個体も、悪性腫瘍の個体も、腸内細菌の状況は類似しています。同じような壊れ方をしているといった方が正確かもしれません。

腸内細菌組成の崩壊は、早期での警報であり、「内なる声」によるヘルプサインと受け取る事が可能です。

例えば、

  • 腫瘍マーカーの細菌グループが増加
  • 炎症を促進する細菌グループが増加
  • パラクレゾールなどの尿毒素を産生する細菌グループが増加
  • 二次胆汁酸を産生する細菌グループが増加
  • 硫化水素を産生する細菌たちが増加

などの状況が重なっているのであれば、警報はより深刻な可能性があります。

それらは悪役ではない

アレルギー個体、悪性腫瘍の個体の腸内では、深刻な不具合を示唆する細菌たちが増加しています。

が、ここで間違ってはいけないのは、これらの細菌たちは悪役なのではなく、あくまで「結果として登場した」という点です。

これこそが「内なる声」の本質であり、「何が起きているの?」と異変に気づいてあげること、そして良い方向に変えてあげる事こそが宿主の正しい在り方ではないでしょうか?

組成崩壊の背景

初期不良の場合もある

「内なる声」による警報が発令される背景は多々ありますが、生誕の初期段階ですでに腸内細菌組成が崩壊している場合などは、より大きなリスクを抱えていると言えます。

これは繁殖現場(母体および環境)の問題や、生誕初期での抗生物質への暴露などが考えられます。

洗剤の問題も?

また、研究報告が増えている領域として、洗剤があります。

海外の事例ですが、食洗機の残留成分が腸内細菌素性に悪影響を与えるといった趣旨の研究報告などは分かり易い例です。

また、床洗剤は要注意で、ベンゼンやフェノールから派生した成分の残留がペットに影響を与える可能性があります。

事実、特に猫から「化学物質を分解する細菌」が検出される事例が多く見られます。これは腸内に化学物質が存在している可能性を示唆しています。

常識や価値観が日々覆される激動の時代。私たちは外部に翻弄されるのではなく、共生する内なるメンバーの内なる声にこそ耳を傾け、共存を模索していくべきかもしれません。

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