近年になって急増している、犬や猫のIBD(炎症性腸疾患)。サプリのご紹介もかねて、犬と猫のIBDの背景について記載します。
説明はいいからサプリが知りたい、という方は、下記のサプリをご覧ください。プロバイオティクスとプレバイオティクスを併用で、多くの場合良い方向に進んでくれるはずです。
IBDにも様々なタイプが存在する
IBD(炎症性腸疾患)は総称です
「動物病院でIBDと診断された。IBD用のサプリが欲しい」といったご要望をしばしば頂きます。が、これだけだと本当に必要なサプリは判断ができません。なぜなら..
IBDとは、炎症による腸疾患全般を指す「総称」なので、個別では事情が異なることが大半です。
潰瘍性大腸炎とクローン病
IBDは、人間の場合であれば通常「潰瘍性大腸炎」と「クローン病」の事を指します。が、犬や猫の場合は「IBDの疑い」や「蛋白漏出性腸症」または「アルブミンが大幅に低下している」といった婉曲的な表現の場合もあります。
これに対して「効くサプリを!」というのは急ぎすぎなので、ワンクッション置く必要があります。
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今、腸内で何が起きているかを知る
数パターン存在する犬/猫のIBD
ペットのIBDは「リンパ球プラズマ細胞性結腸炎」「好酸球性胃腸炎」などいくつかの区分が存在しますが、これらは腸内の異変の違い、さらに言うと腸内細菌の増減の違いとも表現できます。
ForemaラボではIBDと診断された個体の腸内細菌解析の実績が多くありますが、特徴的な崩壊パターンは、大きく分けても10パターン近く存在します。
共通事項はバランスの崩壊
犬や猫のIBDでよく見られる腸内組成は
- 炎症を促進させる細菌グループの極端な増加
- 炎症を抑制する細菌グループの枯渇
- 特定の病原性細菌グループの極端な増加
- 「その他グループ」の極端な増加
などがあります。
健常個体と比較すると、どれも極端にバランスが崩れている点で共通しています。結果として(経路は異なれど)炎症性サイトカインの発現が促進され、消化器、周辺臓器、皮膚、時にメンタルにおいても不具合が表面化しています。
また、上記パターンの中には、IBDとの関連を指摘する文献が存在しないようなパターンもあります。これは本来IBDではない別の疾患が、「IBD疑い」として診断された可能性を示唆しています。
サプリを求める前に、腸内環境の現状を把握するというプロセスは大変重要だという事がわかります。
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SIBOの併発
小腸で細菌が増えすぎる?
IBDの個体はSIBO(シーボ)を併発している事が多いとされています。SIBOとは小腸内細菌異常増殖症のことで、文字通り小腸で腸内細菌が異様に増えてしまい、腹痛や嘔吐などの不具合が起きてしまう現象です。
腸内細菌は大半が大腸に生息しています。ところがSIBOでは本来大腸に生息している細菌グループが小腸で大きく増加してしまいます。
IBDとの併発が多いという点を見ても、大腸の問題が小腸に影響を与えている側面は大きいと考えられます。こういう個体に腸内環境改善のサプリ(プレバイオティクス)を与えると、小腸で増えている「居場所を間違えた細菌たち」がさらに活性化してしまい、症状が悪化することがあります。
ただし犬や猫でSIBOと診断される事例は極めて稀だとされています。理由として、従来の獣医療にはこの疾患は存在しておらず、診断できる動物病院がとても少ないという事情があるようです。
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SIBOと低FODMAP食
SIBOの治療方法は「低FODMAP食」が優先とされています。
低FODMAP食というのは、簡単に言うと小腸で吸収されやすい食事の事で、オリゴ糖やヨーグルト、ごぼうや豆腐といった、本来は腸内に良い食品は除外されます(=プレバイオティクスはSIBOには不適切)。
何が低FODMAP食に該当するかは主治医の先生に確認するのが確実ですが、犬や猫の場合、このあたりは難解です。
低FODMAP食で解決するのか?
低FODMAP食は、本来なすべき大腸のケアが難しいという難点があり、根本の問題かもしれない大腸の不具合解決が遠のく可能性があります。
よって、大腸のケアと同時進行が最善と考えられますが、そのためにも腸内の可視化は必須項目と言えます。それらを把握する事が最善とした上で、Foremaではその先の選択肢として冒頭で触れたサプリ群を販売しています。
※SIBOはプロバイオティクスとプレバイオティクスの併用 = シンバイオティクスで改善の報告があります
全身性エリテマトーデスの可能性
明らかに異なる組成パターンがある
IBD(もしくは疑い)と診断された個体の中で、明らかに他の個体と組成が異なる事例が稀にあります。
情報の独り歩きは危険なため詳細は記載しませんが、人間の文献を参照する限り、それらは全身性エリテマトーデスと酷似しています。
この場合、一般的なIBD治療が最善ではない可能性があるため、状況はより困難になります。
人間でも情報が錯綜する
全身性エリテマトーデスは、犬や猫に関する文献はほぼ見当たりません。人間においても情報は少ない上、文献によっては全く逆のことを報告している場合があります。
これは国(人種)による違いかもしれませんし、どこかの前提が間違っている可能性もありますが、腸内細菌に特徴的な変化が出ているという点においては共通しています。
遺伝と環境と腸内細菌
全身性エリテマトーデスの発症は遺伝による要因が大きいとされています。一方で、リスク遺伝子保有者が全て発症するわけではありません。
発症する背景として、環境による圧力、そして腸内細菌がトリガーとなる可能性が報告されています。
この構図は全身性エリテマトーデスのみならず、セリアック病など他の自己免疫疾患でも報告されています。
であれば、引き金を引かさない=整腸による腸内ケアが予防医療的な観点でも重要項目と考える事ができます。
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