昨今なにかと話題になりがちな腸内細菌について。
ここでは、ごく初歩的な内容を中心に、今わかっていることをざっくりとご紹介します。
腸内細菌と自己免疫疾患
腸内細菌は多くの疾患に関わっている事が、いまや膨大な数の研究で報告されています。
以下、腸内細菌が関わっている主だった疾患を記載します。
- IDB(炎症性腸疾患)
- ぜんそく
- リウマチ
- 乾癬
- 極度の肥満
- 多発性硬化症
- 全身性エリテマトーデス
- 食物アレルギー
- アトピー性皮膚炎
- 自閉症
- うつ病
- 1型糖尿病
- パーキンソン病
- 一部の悪性腫瘍
etc..
これらの疾患は多くの場合、原因不明とされています。一方で、腸内細菌との相関関係、因果関係を報告する論文は多数存在します。
そしてこれは、犬や猫においても概ね当てはまります。
上記の中でも犬や猫で多くみられるのがIBDやアレルギーですが、そういった個体の腸内細菌はほぼ例外なく、バランスが大きく崩れています。こうした組成崩壊を「ディスバイオシス」といいます。
ディスバイオシスにはいくつか原因が考えられますが、特に犬や猫にとって大きな要因となっていると考えられるのが抗生物質の過剰投与です。特に幼少期や母体への過剰な投与はのちに大きな影響を残してしまいます。
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ディスバイオシスは治せるの?
腸内細菌は変えられないという説
腸内細菌の組成に問題があった場合、直すことは可能なのでしょうか?
近年まで、成長後の腸内細菌組成は「変わらない」という論調が主でした。が、実際にはある程度変えられる事がわかってきています。個体によってはごく短期間に大きく変動、または回復する事例がしばしばみられます。
とは言え、「ディスバイオシス」のような根本的な崩壊を治すのには、どうしてもある程度の時間がかかってしまいます。
「これを食べておけばOK!」は無い
腸内細菌組成/腸内環境の改善方法は何パターンかありますが、個体ごとに状況は違うので、共通の特効薬はありません。
例えば、下痢が続く2等の犬の腸内細菌を解析したところ、1頭は「シュードモナス属」が、もう一頭は「ストレプトコッカス属」が大きく増加しているという事例がありました。
この2グループは、分類的にも全く異なる属性であり、当然ながら対処方法も大きく異なります。
まずは実情を正しく把握し、その上で適切な対処をとる必要があります。