遺伝子解析が普及し、疾患のリスク遺伝子の保有有無がわかる時代になってきました。
それに伴い、リスク遺伝子があっても発症する場合、しない場合がある事も分かってきています。何が異なるのでしょうか? ここでは遺伝も関連する自己免疫疾患に絞って記載します。
腸内細菌が引き金を引く
遺伝性の疾患は、遺伝要因、環境要因、そしてトリガー(引き金)、の3つが揃うことで発症するとされています。
このトリガーの部分に、腸内細菌が大きく関与していることが分かっています。
セリアック病
小麦に過剰に反応する自己免疫疾患であるセリアック病を発症するのは、リスク遺伝子保有者でも3%程度とされています。
環境要因としてはストレスなどが挙げられますが、ここに腸内細菌の要因が加わります。腐敗菌の1種であるシュードモナス属や、大腸菌の一部の株などがトリガーとなり発症リスクを引き上げます。
クローン病(IBDの一種)
この記事を読まれている飼い主さんたちにとって最も身近であろうクローン病は、「ラクノスピラ科」や、「大腸菌の特定の株」などが発症に関与しています。これらは炎症に関連する遺伝子をオンにする事などが知られています。(エピジェネティクス)
全身性エリテマトーデス
原因不明の重篤な自己免疫疾患の1つである全身性エリテマトーデスは、やはり「ラクノスピラ科の1つ」や、「いくつかの乳酸菌」が発症のトリガーを引くことが分かっています。
乳酸菌は400種以上が知られていますが、一部がリスクの引き金を引いている事になります。同時に、症状の抑制に別の乳酸菌たちが貢献していることも知られており、腸内細菌の深淵さが伺えます。
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遺伝子のオンとオフ
リスク遺伝子を保有していても、それが常に作動しているわけではありません。私たちが保有する遺伝子は、普段は眠っていることも多く、何らかのきっかけでオンとオフが切り替わります。こうした仕組みは「エピジェネティクス」と呼ばれ、スイッチへの関与として腸内細菌の存在があります。
長寿遺伝子
腸内細菌ではありませんが、長寿成分として知られるNMNやレスベラトロールもトリガーの1つと言えます。
これらは、いわゆる長寿遺伝子をオンにする成分であり、普段は眠っている長寿機能を目覚めさせることで長寿を促します。
尚、長寿遺伝子は、実は飢餓や極寒など、過酷な環境において覚醒することが分かっており、生命が生き延びようとしたときに目覚める、大変ドラマチックな遺伝子でもあります。
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余談ながら
余談ながら、全身性エリテマトーデスのリスク遺伝子の保有者は、マラリアへの耐性が強いという恩恵があります。よって東南アジアやアフリカなど、マラリアの蔓延する地域でこの遺伝子の保有者が多い事が分かっています。
逆にそれ以外の地域では、メリットが活かせないため、進化の過程で消えていったようです。
実に奥深いです。








