原因がわからず、また相談するのも気が引ける..。そんな背景から飼い主さんを静かに悩ませる愛犬の食糞。本当は何が起きているのでしょうか??ここでは、動物病院では教えてくれない、食糞と腸内細菌の関係についてお届けします。
悩んでいる飼い主さんは多い
犬しばしば見られる食糞について、悩んでいる飼い主さんは思いのほか多くいらっしゃいます。相談しづらい内容という事もあってか、抱え込んでいるような事例も見られます。
とは言え多くのペット犬において、食糞はしつけの問題ではありません。腸内からのヘルプサインというのが実情です。
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腸内からのヘルプサイン
過剰な増加①
食糞のある個体の腸内細菌はほぼ例外なくバランスに問題が出ています。
例えば病原性の高い「フソバクテリウム属」というグループの過剰な増加。このパターンは食糞に至る強い傾向が見られる他、下痢や血便、慢性の皮膚トラブルの事例が高い頻度で見られます。
「フソバクテリウム属」には、IBDの原因となる「F. バリウム」や、大腸がんにも関連する「F. ヌクレアタム」といった細菌も分類され、これらを含んだ一派全体が大きく増加しているパターンが見られます。
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過剰な増加②
同じく疾患との関連が高い「フォカエイコラ属」の過剰な増加は、消化器トラブルやアレルギー症状のみならず、食糞や行動障害に至る事例が多く見られます。「フォカエイコラ属」は腎炎や膵炎にも関与する強い傾向があります。
見方を変えれば、食糞とは上述の疾患に発展する前兆と考えることもできます。
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食糞の対策として何ができるのか?
整腸によるバランス改善が、食糞をはじめ大半の腸内のリスク軽減につながります。
整腸の具体策としては、オリゴ糖などのプレバイオティクスの複数併用が有益です。乳酸菌群は、食糞対策としては比較的非力な傾向があります。
整腸を地道に継続することで、腸内細菌群の多様性は回復し、多くの場合、食糞の頻度は軽減に至ります。もしもそうならない場合は、回復を妨げている「別の要因」が存在する可能性があります。その時は「腸内細菌解析」を実施いただくことをおすすめします。
異常行動は体内からのヘルプサインです。その奥底にある「何か」に耳を傾けてあげてください。
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