関節痛の原因の1つとしてリウマチが挙げられます。
リウマチは自己免疫疾患の1つで、その根底に炎症の存在があります。そしてそこにいくつかの腸内細菌が関与しています。
コリンセラ属とエガセラ属
アクチノバクテリア門の細菌たち
リウマチの要因の1つとして、放線菌グループ(アクチノバクテリア門)の「コリンセラ属」と「エガセラ属」があります。これらはリウマチ患者の腸内で増加が報告されている代表的な存在で、炎症を促進するため、リウマチのみならず、IBDや敗血症の要因の1つとしても知られています。
アルツハイマーにも関与?
「コリンセラ属」や「エガセラ属」は、リウマチや炎症のみならず、アルツハイマー病にも関与しているという報告が近年登場しています。
シニアが関節痛から歩くことが減り、そのままふさぎ込むという流れは腸内細菌とも関連しているのかもしれません。
アルツハイマー病と腸内細菌
晩年のQOLを左右する様々な細菌たち
アルツハイマー病は、上述の「コリンセラ属」や「エガセラ属」の他にも、歯周病菌や肺炎桿菌など複数の細菌たちが関与していることが分かっています。
アルツハイマー病に関与する歯周病菌としてははバクテロイデス門の「P.ジンジバリス」が有名な一方、「肺炎桿菌(K.ニューモニエ)」は全く分類の異なるプロテオバクテリア門であり、幅広い細菌たちが脳の不具合に関与していると見ることができます。
細菌たちとの関係の総括
人生終盤に訪れるこの重篤な疾患の原因は複合的と考えられ、これまでの細菌たちとの関係性が総括された結果と言えるのかもしれません。
認知症の高齢者は過去に結腸がんを患っていたり、リウマチの持病がある事例もしばしば見られます。これらは根底で繋がっている可能性があります。
アルツハイマーは未然に防げるか?
少なくともリウマチや慢性的な腸内トラブルの持病があるのであれば、それらを鎮静することがアルツハイマーの予防に貢献する可能性があります。
それは投薬ではなく、整腸が優先的な選択肢であり、慢性の炎症を抑制した結果としてリスクの軽減が見えるのではないでしょうか。
余談ながら..
エガセラ属の1種は、パーキンソン病治療薬のレボドパ製剤を腸内で分解してしまうという報告があります。結果としてパーキンソン病の投薬治療に弊害が出てしまう可能性が指摘されています。
パーキンソン病は、アルツハイマー病と同様に脳の病気と考えられてきましたが、それはあくまで最終的な結果であり、前段階として様々な細菌たちの関与が報告され始めています。