犬用/猫用の無添加ウェットフード、Forema Natureシリーズに冬虫夏草入りの新作「Forema Nature 鹿 冬虫夏草」が加わりました。
冬虫夏草とは何か?
昆虫に寄生するキノコ
冬虫夏草というのはキノコの一種。冬眠している昆虫の幼虫やサナギに寄生して乗っ取り、夏にはキノコとして地上に芽を出すことからこの名がついたとされています。
このタイプのものは何種類か存在し、それらをまとめた総称として冬虫夏草と呼ばれています。主にチベットの奥地で採取され、漢方薬(薬効は免疫強化や抗癌作用など)としてキロ単価で数十〜数百万円で取引されてきました。
偽物が横行する
冬虫夏草が高額な理由は、採取される数がとても少ないから。しかも数世紀にわたる乱獲により、すでに持続が困難な状況にあるとも言われています。
よって世間には「偽物」が横行し、治療の終末期において大金を払ったあげく何も得られずに..という最悪の、しかしよく耳にする胡散臭い話の主役にもなってきました。
冬虫夏草は標高3000〜5000mの高地にある、湿った土壌にしか生息しない。そのため採集できる土地は限られている。ある推計によると、全世界の冬虫夏草の再終了の96%がチベット高原に集中している。現在の採取量は持続可能なペースを超えている、と専門家は指摘する。
ナショナルジオグラフィック 2012年8月号 122P「チベット高原の”金”冬虫夏草」より
それでも需要が存在する
そんな冬虫夏草をあえてForema Nature に採用したのは、実際に愛犬/愛猫の癌で闘病中の方たちが、Forema製品を選んでくださる事例が増えて来たためです。
「..この頃多いよね」、と社内でも話題になっていた頃、とある国内メーカーさんから「冬虫夏草(国産のサナギタケ:コルジセピン含有)の人工栽培に成功」という話が入って来ました。
冬虫夏草に効果はあるか?
抗炎症作用のある成分、コルジセピン
冬虫夏草の人工栽培に成功しているのは日本だけ。既に他のメーカーの人工栽培品が市場に存在しますが、有効成分(コルジセピン)含有量にばらつきがあるなどの問題がありました。
こうした問題を改善して製品化された冬虫夏草粉末を今回採用し、 犬用/猫用のラインナップとして加えた次第です。
関連商品: Forema Nature 冬虫夏草(犬用/猫用)
コルジセピンには複数の文献が存在する
でも、本当に薬効成分はあるのでしょうか?
コルジセピンについては以前から研究が進んでおり、抗炎症作用を示す事が知られています。
要旨のみではありますが、関連文献を軽くご紹介します。
我々は、冬虫夏草由来のアデノシン誘導体であるコルジセピンが、インターロイキン(IL)-10発現を増加させ、IL-2発現を減少させ、Tリンパ球活性を抑制することを報告してきた。本研究では、ヒト免疫細胞に対するコルディセピンの調節作用をさらに特徴づけた。
昆虫病原性真菌である冬虫夏草は、多くの薬理学的・治療的意義があることが知られており、特にヒトの健康という点では、民族薬学的利用の候補として適している。この菌類から抽出されるエキスの主成分は、コルディセピン(3’デオキシアデノシン)と呼ばれる新規の生体代謝物であり、非常に強力な抗がん、抗酸化、抗炎症活性を有する。
また、古い記事になりますがナショナルジオグラフィックのWebでも紹介されているので引用します。
研究に参加したノッティンガム大学のコーネリア・H・デ・ムーア(Cornelia H. de Moor)氏は、「炎症は通常、けがや感染に対する有益な生体反応だ。ただし、ぜんそくなどの病気では、急性で重篤な炎症が起きる」と説明する。「そうした反応を強力に抑制するのがコルジセピンだ」。
しかも、細胞内のメッセンジャーRNA(mRNA)の段階でポリアデニル化を抑制するという、これまでには見られなかった方法で阻害する。つまり、遺伝子の細胞レベルで腫れを止めるということだ。現在の薬があまり効かない癌、ぜんそく、糖尿病、関節リウマチ、心血管疾患の患者を助ける新薬の開発につながる可能性がある。
冬虫夏草に抗炎症作用成分を確認
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/news/14/7120/
問題は、その冬虫夏草製品に「本当にコルジセピンが含有されているのかどうか」という事。
闇の深い領域かもしれない
イカサマの横行しやすい代替療法の現実
今回の製品化にあたり、「とある研究室が市販されている同類製品10種類を購入し、実際に成分解析を行った結果」を見せてもらう機会がありました。
10製品中、7製品(※)が未検出!
残る3製品も実際の表記よりも大幅に少ない数値しか検出されていませんでした。(※キロ単価10万円弱〜中には800万円代まで!)
10品中10品がイカサマだったという現実。
終末医療における代替療法の、おそらくはこれが真相だと思います。その背景を物語るかのような記事も見られましたので引用します。ただこの記事および出元の網易の信頼性の程はわからないので、下記記事については参考程度に捉えてください。
「網易」(10月20日付)によると、中国科学院上海植物生理生態研究所の研究チームが、国際的な学術雑誌「Cell」に、驚くべき研究データを発表したという。これまで、オオコウモリガ由来の冬虫夏草に豊富に含まれていたとされる抗がん成分ペントスタチンや、細胞のがん化を抑制するコルジセピンなどの成分が、実際には全く含まれていなかったというのだ。
https://news.infoseek.co.jp/article/cyzo_20171030_1413361/
高級漢方の代名詞「冬虫夏草」の“抗がん作用”はウソだった!? 中国研究チームが衝撃の発表
ちなみに上記で指摘されているのは本場中国で主流のオオコウモリガ由来の冬虫夏草の話。国内に自生するサナギタケは上記グループには属していない点は留意が必要です。
また今回の人工栽培においては、製造元の研究室でサナギタケの成分解析が行われ、実際にコルジセピンの含有が確認されている点。また他の国内企業の人工栽培においても同じくコルジセピンの含有が認められている事は重要かと思います。これについては追って第三者機関でも改めて解析を行う必要があるかと思います。
少しでも真っ当な商品を..
効果は絶対に、とのお約束はできませんが、少なくとも有効成分がまともに含まれている真っ当な商品を、持続可能か価格で販売していく事が最も現実的かつ有益な方法なのだと考えています。
普段は「天然素材」を推奨しながらも今回あえて「人工栽培」を採用するのも、超高額なキノコの成分/価格の安定化が重要だからです。
かつて黄金とされた舞茸が、今ではスーパーでお手軽に購入できるように、冬虫夏草の人工栽培がより良い健康生活に貢献できる日が来るのかもしれません。
尚、サナギタケはキノコの仲間で、分類としては真菌。菌類や細菌類が代謝する成分ということで、コルジセピンは抗生物質の領域の話となります。抗生物質の乱用における弊害について、別記事で記載しましたのでご参照ください。
伝統と迷信、そして最新の研究が混ざり合うこの領域は、難解かつ刺激的な領域ですが、とても有益な可能性をひめているように強く思います。
関連商品: 犬と猫の腸内細菌解析「byOm(バイオーム)」
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